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あらまし 診断 薬 精神療法説明 認知行動療法 曝露反応妨害 森田療法
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曝露(ばくろ)・反応妨害法 |
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[1]あらまし |
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強迫性障害の治療で、もっともよく用いられ、有効であることが確認されています。[1][2]
曝露(エクスポージャー Exposure)
不安を生じさせている状況に、実際に、もしくはイメージで直面し、大丈夫だということを学びます。
反応妨害(儀式妨害、Response Prevention)
強迫衝動や不安をそのままにして、強迫行為をしないようにします。逆にいえば、不安を取り除くために儀式行為をする必要はないという重要な教えを学ぶことです。[3]p203
これを繰り返していきます。
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[2]不安が自然に減るということ(原理) |
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2-1)森田療法との共通の部分
森田療法には、感情の法則というものがあります。これは、曝露反応妨害法の原理と共通していて、わかりやすいので、まず紹介します。(参考[4]「実践森田療法」p45-49)
1)感情は、そのまま放任し、あるいは自然発動のままに従えば、その経過は山型の曲線をなし、ついには消失する。
2)感情は、その衝動を満足すれば消失する。
3)感情は、その感覚に慣れるに従い、その鋭さを失い、次第に感じなくなってくる。
4)感情はその刺激が継続して起きるときと、注意をそれに集中するときにますます強くなる。
5)感情は、新しい経験によって、それを体得し、その反復により、それを養成する。
ただし、強迫の感情が消失するのは、実感としてはそうすぐにではありません。
森田療法で、曝露に相当する言葉は、恐怖突入です。いずれにせよ、勇気がいります! |
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2-2)行動療法での説明
行動療法では、図4のように説明されています。(参考[2]:「強迫性障害の行動療法」p29を加筆)
セッションというのは精神療法の回数で、セッションを重ねるというのは、何度も曝露反応妨害法を行うという意味です。 |
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1)グラフの横軸が時間、たて軸が、SUD(主観的不安尺度)
SUDは、自分が最も不安・苦痛に感じるときを100点、まったく不安・苦痛のないときを0点として、それに比べて今は何点に感じるかを表した点数です。
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強迫の対象に直面したエクスポージャー開始直後は、強迫の感情や衝動は高まり、SUDも上がります。
しかし、不安は、そのまま放置することで、時間とともに減っていくことを体験学習します。それは、すぐには実感できにくいので、SUDを数分おきに何点か数えます。初めに比べ、15分後に80点、30分後に70点・・・という具合に徐々に減っていくはずです。初めの曝露反応妨害療法では、1時間くらいかかるかもしれません。最大1時間半あれば減るとされています。
曝露は、「一つの項目を実践するたびに、少なくとも苦痛度が半分に減るまで、あらかじめ決めておいた状況やイメージと向き合ってください。」「苦痛度が
はっきりと低下するまで、一定の状況やイメージに対する実践を繰り返しましょう。」[3]p251
また、曝露は、SUDが50以下になるまで行うと書いた文献があります。[8]
強迫行為をしてしまいたいという衝動が襲います。でも、そのようないくらかの不安が生じることも自然であると受け入れます。これは、森田療法でいう「あるがまま」です。逃げもせず、打ち消そうともせず、受け入れて放置します。
これが、1回目のセッションの基本的な方法です。
初回のエクスポージャーは特に、できれば治療者と一緒に時間をかけて行えると理想ですが、日本の外来では、それだけ十分な時間が割けないことが多いです。
モデリングといって、治療者が最初に曝露の見本を示してから行うと、、患者は曝露に挑戦しやすくなります。
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2)「強迫観念が現れだしたと感じたら、逆らわないでください。強迫観念を迎え入れて、そのままほうっておきましょう。強迫観念を受け入れたのですから、それを消すために闘う必要もありません。つまり、強迫観念を受け入れることが、儀式行動(強迫行為)を起こしたいという強い衝動を消し去ることになるのです。」[3]p124-125
「強迫観念のパターンを変えたければ、たった一つ「強迫観念と闘わない」というを覚えておきましょう。」[3[p160
CBTのページの図3のように、強迫では、いつまでたっても不安や緊張が下がらないから悪循環になっています。そこで、悪循環のパターンでなくても、下がる感じが得られることを練習していきます。
ただ我慢しても、強迫と格闘することになり、なかなか改善できません。
また、観念を打ち消そう(ゼロにしよう)ともがくと、かえって観念のことばかり考えることになり、よけい頭にこびりつきます。観念がゼロではない、衝動がよぎる、中途半端なモヤモヤした感じに慣れて行きます。そして、強迫行為(頭の中の反応も含む)をしないで、時間がたつと、自然に減っていく感じです。
曝露は、不安、恐怖、嫌悪感があるものに効果があります。特に、不潔恐怖(洗浄の強迫行為)を持つ人には、効果が得られやすいです。[3]
p211 |
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3)これを何回も行って習慣化するには、外来だけでは回数が足りません。
そのため、通常、宿題(ホームワーク)として、自宅でも曝露反応妨害の課題を行います。
「毎日最低1時間から2時間は実践してください。」[3]p251 |
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[3]目標設定 |
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このような曝露、自分にはできるか心配になっても当然です。最初の曝露は、成功するよう、自分にできそうなところから始めます。そのための目標設定までの方法を次に書きます。
■セルフモニタリング
@日常生活で、強迫の症状にとらわれている時間、状況、回数、SUDなどを記録します。表を使って、1週間などとある程度の期間、症状に出会うたびに、書いていきます。
A表を元に、自分の症状をSUDの高い順に並べた不安階層表を作成することが多いです。
文献[4]では、複数の症状がある人の場合、主な症状を並べた階層表(マスター)と、個々の症状ごとの表(ミニ)を作ったり、観念と行為に分けたり、目標(ターゲット)のための表を作ったりすることもあります。
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不安階層表--病気による汚染恐怖の例(文献[5]p63): |
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| 行為 |
SUD |
| 本の赤い点にさわる |
20 |
| 野宿者のそばを通る |
30 |
| 病院にお見舞いに行ってきた人に訪問される |
35 |
| 公衆電話にさわって使う |
40 |
| スーパーの「病気」に見えるレジ係から商品を買う |
50 |
| 最近病気の隣人の横に車を止める |
55 |
| 病気の疑いがある外見の郵便局員がさわった郵便受けの手紙にさわる |
60 |
| 公共のエレベーターの赤い点にさわる |
75 |
| シャワーなしでリビングの「聖域」に座っている夫 |
80 |
| シャワーをあびないで寝室に人が入る |
100 |
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患者の思い込みなので、夫や野宿者など、偏見のある内容も含まれます。 |
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ミニ不安階層表--確認の例(文献[5]p64): |
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| 行為 |
SUD |
| 冷蔵庫のドアを一回で閉めて、確認なしで立ち去る |
50 |
| ストーブを消して、確認なしで立ち去る |
60 |
| コヒーメーカーを消して電源プラグを一晩中入れたたままにする |
65 |
| 台所の小型機器を電源プラグを入れて家を離れ、1時間で戻る |
70 |
| 台所の小型機器を電源プラグを入れて家を離れ、3時間で戻る |
75 |
| 台所の小型機器を電源プラグを入れて家を離れ、6時間で戻る |
80 |
| 台所の小型機器を電源プラグを入れて家を離れ、翌日に戻る |
85 |
| 夜ベッドに行く前にドアのカギの確認を一度だけにする |
95 |
| 台所のすべての小型機器を電源プラグを一晩中入れたままにする |
100 |
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これらの評価や不安階層表を参考に、その人にあった曝露反応妨害法の目標を探します。
曝露には、大きく分けて次の2つがあります。
ただし、実際の細かい方法は、治療者や患者さんの状況によって様々です。
1.段階的曝露
不安階層表の中から、これならできそうなとことから始める。ただし、あまり簡単だと効果が薄いので、SUDが半分くらいのところから始めます。強迫行為に逆戻りしないで、成功体験積むのが目的です。実際には、図4のように簡単にはSUDが減ってくれない場合もありますし、どこかの段階で越えるのが難しい壁に突き当たることもあります。でも、あきらめないで続けてください。
2.フラッディング(持続的曝露)
洗浄・不潔強迫の場合、日常生活ではあまり行わないようなSUDの高い目標に、あえて挑戦してみる方法です。(と言っても実際は、汚いと思うところにちょこっとさわる程度です)禁煙が、少量ずつ減らすより、一気にまったく吸わない方がうまくいくのと同じ理屈です。そして、その手で自分の大切なもの(聖域)まで、積極的に汚れを広げます。この方法を治療者と共に行う方が、不安の下がり方や、観念へのあきらめがつきやすく、効果が早いです。
3.本[3]p218では、曝露の最初は、中程度の不快感を生み出す状況から始めるのがいいと書かれています。
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[4]特徴 |
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行動療法によって、まず行動を減らします。一般的には、感情や思考・認知(=強迫観念)が下がるのは、それよりずっと後になってです。それを説明したのが、下の図5です。([5]p93-98)
30分、1時間・・というのは、1回の行動療法の中での時間です。
また、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月・・というのは、セッションや宿題(ホームワーク)を何回も重ねたことによる変化です。
ただし、これは一般的な場合で、例外もあります。例えば、今までできなかったことが何年ぶりかでできるようになった場合は、その場で観念も感情も変わります。 |
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本[6]には、次のように書かれています。
1.衝動や思考は、多少は自分でコントロールできても、あらゆるときにコントロールし切れる人は一人もいない。
2.行動だけが、常にコントロール可能である。
3.行動を変えれば、思考(観念・認知)と感情も変化する。(青い→の部分)常にコントロールできるとは限らない感情や思考をコントロールしようとする必要はない。
(注by管理人;例えば、今まで「汚い!」と感じてい感情や考え方(認知)が、行動療法を重ねることで、それに遅れてですが、次第に和らいできます。そして、今までできないと思っていたことがある人は、できるようになります。平気にできるようになるのは、しばらくたってです。ケースによりますが、1ヵ月後とか数ヵ月後のときもあるでしょうし、いつのまにか気がついたら平気になっていたと言う場合もあります。)
4.もし強い意欲があり、十分な支持と激励が得られるのならば、強迫行為に抵抗できなかった患者を、著者はこれまでに見たことがない。
(注・管理人;曝露反応妨害法は、もし失敗しても、何度でも成功するまでやり直せばいいのです。)
5. 患者が「鍵を確認しなくてはならない」「手を洗わなくてはならない」などと言うのは、正確に言うと「鍵を確認しなくてはならないように感じる」「手を洗わなくてはならないように感じる」の間違いである。実際に行動できないのではなく、衝動なだけなのである。
(注・管理人;これは認知療法で言う「認知のひずみの一つで、6. ねばならない・すべき」のことで、認知療法にまとめてあります。
6.曝露と反応妨害の実践を続ければ、恐れと強迫行為は、ほとんどの患者で減少する。ただし、人によって、減少の速度は異なる。
7.世界における過去30年の調査によると、行動療法によりOCD患者の約2/3が、症状をコントロールでき、効果が確認された。
8.行動療法には、副作用がない。
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本[3]には、
1.儀式行動をしないと決めることは、自分の不安と正面から向き合い、儀式行為をしない苦痛から自分を守ることをやめると決意することです。必要なら、あなたは進んで不安になるでしょう。・・中略・・不安から逃げるのではなく、むしろ近づいていかなければならないのです。p199-200
2.(曝露反応妨害法を実践していく過程で)自分の強迫観念がいかに不合理であるか、必死になって苦痛を避けようとするのがどれだけ意味のないことであるか、そして、最悪のシナリオが実現することはほとんどありえないということに、だんだん気づいていきます。p217
3.自分で次のように書いたカードを持ち歩いてもいいでしょう。p260
1)不安は永遠には続かない。しばしこの状況に耐えていれば、やがて不安は消失する。
2)この行為によって自分が被害を受ける可能性はとても少ない。
4.不潔恐怖の場合、汚染されていると思う物に、まず手で触れ、次にそれを髪、顔、腕、脚などに広げて行きます。
その次に、「あなたの住環境に広めましょう。」 「ほかの人々を汚染することも恐れているのなら、エクスポージャーの実践中、その人たちを汚染する方法も考えなければなりません。」p260-261
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参考 |
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[1]原田誠一編「強迫性障害ハンドブック」
[2]飯倉康郎編著「強迫性障害の行動療法」
[3]エドナ・B・フォア博士&リード・ウィルソン博士(片山奈緒美訳)「強迫性障害を自宅で治そう!」VOICE
[4]北西憲二「実践森田療法」
[5]Bruce M.Hyman,Ph.D. Cherry Pedrick, RN, The OCD Workbook second edition,
New Harbinger Publications,inc.
[6] リー・ベアー「強迫性障害からの脱出」 晶文社
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