呼吸・リラックス



1.あらまし

心臓がドキドキするなどの身体の状態は、直接、コントロールできません。しかし、呼吸をあえてゆっくりし、筋肉の力を抜くこと(弛緩:しかん)で、緊張がいくらかゆるみ、感情にも間接的に働きかけ、少し落ち着いてきます。


2.方法

2-1.呼吸

呼吸の出入りは、鼻からでも、口からでも、構いません。
息を吸ったら、少し止めて、ゆっくりと吐きします。
吐くときに、肩の力を少し抜きます。
吐き終わったら、少し止めると、自動的に吸うはずです。

(呼吸の量は無理のない範囲で、吐く秒数は数えなくてもいいのですが、4-8秒くらいが目安です。)

うまくやろうとする必要はありません。

肩の弛緩2

2-2.腹式呼吸

腹式呼吸といっても、特別なものではなく、呼吸が少し深くなるだけのことです。
その感覚をつかむには、お腹に手をあててみます。
吸うときには、お腹がふくらみ、吐くときはへこんでいるのが、わかると思います。吸う量が多ければ、お腹のふくらみも増します。お腹に息が入るためではなく、肺が大きく膨らめば、それにお腹が押されて、膨らむためです。お腹の変化がわかったら、手はお腹から外してOKです。
(喉が痛まない範囲で無理なく行ってください。室内の空気にほこりやハウスダストが多い時も、控えめに。)

2-3.腹式呼吸+マインドフルネス

背筋を伸ばして、頭のてっぺんから、お尻まで姿勢がまっすぐになるようにします。頭のてっぺんを、糸で引っ張られているイメージで背筋を伸ばしてもいいです。体の中心は心棒が通ったようにまっすぐにしますが、体の左右(肩や腕など)は力を抜きます。体の中心をまっすぐにすることで、呼吸などの流れがよくなります。

そして、マインドフルネスの瞑想を組み合わせて、今に注意を向けます。
鼻、口から空気が出入りする様子、それに伴い胸が動く感覚など、自分の体の中に注意を向けてもいいです。その様子をやさしく見守る感じです。
また、音に注意が向いたり、雑念が思い浮かぶことに気が付くのは自然なことです。ただ、その雑念にとどまらずに、なるべく「今」の感覚に注意を戻すようにします。
そうすることで、心配などの思考にとらわれていた脳と距離を開け、考えと体とがばらばらであった状態を一体化することができます。

公園の木陰

植物が作ってくれた酸素を、気管、肺を通して、体に取り込んでいきます。その酸素が、心臓の鼓動とともに、全身にいきわたり、細胞が生き続けることができます。体の内部は観察できませんが、肺の動きや心臓の鼓動を、やさしく見守ります。


2-4.筋弛緩法

肩に力を入れる

体の筋肉をリラックスさせることで、精神的にもリラックスをもたらすものです。参考[4]
体の筋肉の各部を、部分ごとにぎゅっと力を入れます。(5-10秒間)その後、息を吐きつつ、力を抜いて、しばらくそのままでいます。15-20秒くらい

これを体の各部(首、両肩、両腕、胸、背中、お腹、両腿、両足・・・)ごとに行っていきます。


・呼吸法は、5分以上続けると、脳波のアルファ波が増え、セロトニン神経にもいいそうです。参考[1]
・本[2]p142-146には、落ち着きの呼吸法、落ち着きのカウントダウンと書かれていますが、根本的な内容は似ています。
・本[3]p258-265筋弛緩法と腹式呼吸が載っています。



3.場面・状態に応じて


3-1.緊張する場面で

2-1-3.は、短時間でも行うことで、いくらか和らげることができます。
パニック発作などで過呼吸になる人は、そのような状態になる前から、吐くときにゆっくり目に行います。吐く量は、あまり多くなくてもいいのです。吐くを止めれば、自然に吸い込みます。

緊張しているときは交感神経、リラックスするときは副交感神経が働くのですが、吐く時間をゆっくり取ることで、副交感神経に作用します。

強迫性障害などの不安を伴う症状にとらわれているときは、顔の周りや、首、肩、など胸より上の筋肉が、緊張しているはずです。とらわれから、注意を自分の体に向け、特に肩や頭など上半身の緊張を観察してください。そして、筋肉の緊張に気づいたら、その筋肉をゆるめます。


3-2.緊張しやすい人

普段、緊張しやすい人は、日常生活の中で、上記の呼吸法を行う時間をあえて持つようにするといいです。


感覚抑制:
マインドフルネスでは、スマホ・携帯、パソコン、テレビ、ゲームなど機械のペースで行うものはなるべく使いません。静かに過ごすのもお勧めです。
できれば、電気の照明も消して、目や耳に入ってくる情報を遮断して過ごすのもいいです。
携帯やPCの電源や、室内の照明を消して、静かに過ごすと目の辺りがじわーっとして、目が疲れていたことに気づくことがあります。
窓を開けて(網戸は閉めて)外の音に耳を傾けたり、アロマのような香り、ろうそくを眺めてもいいです。

ろうそく

・強迫性障害の根本的な解決策ではありません。リーベアーの「強迫性障害からの脱出」[3]p311には「恐怖症やパニック障害など、別の種類の不安障害の治療に用いてとてもうまく行っているが、OCDの治療にはほとんど役に立たないことに気づいている。」そうです。
強迫性障害の患者さんで、肩こりがある人は、案外多いそうです。こりをほぐすにも、肩の弛緩の4)は役立ちます。


参考

呼吸、弛緩を用いたリラクゼーションの方法は、いろいろな本やネットで紹介されています。

[1]有田秀穂「日経ヘルス」2005-6 p84-93
[2]エドナ・B・フォア博士&リード・ウィルソン博士(片山奈緒美訳)「強迫性障害を自宅で治そう!」VOICE
[3]リー・ベアー「強迫性障害からの脱出」 晶文社

*メモ

緊張=筋肉の収縮が持続している状態。心拍数は上昇。呼吸が激しくなる。交感神経が働いている。
腹式呼吸をする→脳内の扁桃体の活動が落ちつく→間脳にある視床下部(自律神経の中枢)によって、自律神経のうちの副交感神経を作動させる。緊張がほぐれる。