マインドフルネス mindfulness

(2019.1.27修正)

マインドフルネスは、仏教の瞑想法の気づき(サティ)の意味です。
それを心理学が取り入れ、認知行動療法で、うつ病などの治療に用いられるようになりました。

「何とかしよう」と自分から動く状態=Doingモード

状況をあるがまま受け入れた状態=Beingモード

仕事、日常生活、遊びで、物事を進めていくためには、Doingモードが必要です。
しかし、精神的に不調で嫌な考えや感情のコントロールが難しいときには、Doingモードがうまくいかず、かえって嫌な考えや感情にとらわれてしまい、苦痛になることがあります。
そのとらわれから、少しずつ距離を開けていくには、Beingモードを取り入れます。


1. 意識には考えと感覚とがよぎる

1)感覚

目で見えるもの
聞こえる音
ふれた感覚(触覚、温度、風)
体の内部の感覚(お腹の動き、便意、痛みなど)

臭い
重さ、力、平衡感覚
=言葉を使わずに、動物でも感じられること。

2)考え

意図的なものと、自然に思い浮かぶものとがあります。そのような考えが意識に思い浮かぶのは、自然なことです。

マインドフルネスと意識


2. 方法

1)今、この瞬間に、注意を向ける

今は、すぐに過去になります。そのため、注意を「次の今」に向けていきます。
特定の考えにとらわれやすくなっていても、そのような考えに気づくだけで、次の「今」に注意を移していきます。


考えにとらわれているとき





マインドフルネスと注意

2)気づいたものを、あるがまま観察する

気づいたものを、すべて受け入れます。 できれば、興味をもって、やさしく受け止めるようにするといいです。
例:見えるものが「赤い」「丸い」、触ったものが「冷たい」「固い」、肩が凝っている、お腹が鳴っている、といういように、ただ感覚に気づくだけです。

3)良い悪いの評価をしない。

評価をすると、悪いものを「どうにかしたい」Doingモードになってしまいます。



思い浮かぶ考えを、「雑念」「妄想」と名詞をつけて、それを唱えることを繰り返し、そこにとらわれない方法もあります。(ラベリング)


マインドフルネスでは、1つの考えにとらわれないことで、見る、聞くなど、脳の中心部の動物的な部分を主に用います。
そのため、大脳をあまり使わず、脳の心配ごとにとらわれやすくなっている部分を休めることができると考えられます。
脳


3.エクササイズ

1)さまざまな感覚

「今」のいろいろな感覚、考え、動きに気づきを広げていきます。

例1:聞く
耳をすましてみてください。
今、どんな音が聞こえるか、耳を澄ませて、いろいろな音に耳を傾けます。
エアコンの音、外の道路を通る車の音、虫の音、風の音・・・そのようにして、注意の幅を広げていきます。

例2:見る
外の景色、草木、空、室内の物、壁、床、何でもいいです。今まで見慣れたものでも、どんな形か、色、模様・・・細かく観察していきます。細かく目で追うほど、感覚の正解が広がっていきます。

例3:体で感じる
温度、風、服が体にふれる、足が床についている・・・これらも「今」の感覚です。

例4:体の感覚(ボディスキャン)
自分の体を、CTやMRIで観察するように、各部の状態がどうか観察します。
頭から足の指先にかけて、緊張、痛み、違和感・・・、じっくり観察していきます。

例5:複数のものに注意を向ける
例えば、周囲の音を聞きつつ、足の裏が床についている感覚に、同時に注意を向けます。
両方に注意を向け続けるのは、難しいかもしれません。しかし、複数の感覚に注意を向けると、意識のかなりの部分が、感覚で埋まります。

2)体を動かす瞑想

マインドフルネスは、さまざまな動作をしているときでも行えます。 手、足を動かして、何か物を触ってもいいです。手ざわり、重さ、温度、形、・・・。
寝転がる、歩く、体を動かす、家事や掃除をしているとき・・・。動作は、できればゆっくり。

外部サイト:YouTube動画
手動瞑想 「プラユキ・ナラテボー師 瞑想実践


歩く瞑想 「ヤタワラ・パンニャラーマ【花と瞑想の会②】~歩く瞑想の説明~


3)サマタ瞑想

一つのことに集中し続ける瞑想です。ただし、注意を向けていること以外のことに気づいても、構いません。そこで、再び特定のことに注意を戻すことで、コントロールできる能力が養われて行きます。

例1:呼吸に注意を向ける
深呼吸の必要はなく、ただ、鼻や口で吸ったり吐いたりしていることに注意を向けてください。呼吸を意識して行い、それに集中していきます。
その間、音が鳴ったり、雑念がわいても、ただ気づくだけにします。そして、すぐに呼吸へ注意を戻してください。

時間:

始めは、1,2分でも構いません。自分の生活スタイルに合わせて、短時間でもこまめに行うといいです。
慣れてくれば、徐々に時間を長くし、10分、20分、30分と行います。脳が変わるには、30分以上が望ましいです。



4. 方法2

4)自分と距離を置く。(脱中心化)

自分の中で、考えや感情がわいてくる様子を、お鍋の中でお湯が沸く様子を眺めるように、ただ眺めるようにします。

5)今の動作や感覚の単語を唱える(実況中継)する方法もある。


6)うまくできなくても、あるがまま。

「今」に100%集中できなくても構いません。集中度が30%、50%でも、それだけ考えのとらわれから、離れられたことになります。

7)電子機器の視聴はお勧めしない。

PC、携帯・スマホ、テレビの視聴、音楽を聞く、ゲームをするなどの行為は、嫌な考え、感情から一時的に離れられる効果はあります。 しかし、その間、機械に合わせて思考は続いているので、気そらしにはなっても、マインドフルネスの効果を得るのは難しいためです。


一般向け:
熊野宏昭「実践!マインドフルネス」サンガ(2016年)

専門書:
[1]Z.V. シーガル、J.D. ティーズデール、マーク ウィリアムズ、Zindel V. Segal、John D. Teasdale、J.Mark G. Williams[著]、越川 房子[訳] 「マインドフルネス認知療法―うつを予防する新しいアプローチ」北大路書房 (2007年)
[2]J.カバットジン[著]春木豊[訳]「マインドフルネスストレス低減法」北大路書房(2007年)