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症状のしくみと改善するには
脳と体のしくみを、認知行動療法のモデルを使って説明します。
3-1)症状のポイント
症状のポイントは、次の3つです。

1.習慣


2.動機(恐怖、逃げ、びびり・・)

3.体の反応(緊張、こわばり、力み、疲れ)

強迫症状は、この3つがお互いに影響しあっているから、厄介で強固なものとなってしまいます。
3-2)しくみ

・強迫は、習慣になると、そう簡単に、はずせなくなります。

・強迫の症状は、図1のように悪循環となっています。悪循環は、すればするほど図6のように強化されていくためです。
強迫観念と強迫行為は、セットになっています。強迫観念だけという人でも、実際は、観念に反応をした思考・身体・感情があることが、近年の研究ではわかってきました。

しかし、 例えば、普通の人でも夜の入浴や、出かけるときのカギ閉めは、習慣になっている人は多いです。それと強迫の習慣は、どこが違うのでしょう?

それは、「動機」と「体の反応」の違いです。

図2は、治療>認知行動療法のページで用いた基本モデルです。

感情・・・恐怖感、不快感、切迫した感じを伴っていることが多いです。(例外はあります)強い感情を伴った体験は記憶に残りやすいのです。

体の反応・・・緊張したり、こわばったり、ドキドキしたり、疲れるものです。自分が緊張しているという自覚がない人もいるのですが、かといってリラックスしているわけでもないはずです。入浴するのに、かえって疲れたりするから強迫なのであって、リラックスしていれば単なる長風呂です。(笑)

このような感情と身体の反応がともなうために、図2の関係がよけい強化されます。

これらの反応を真に受けた動機、つまり、強迫観念をなくそうとしたり、そこから逃げようとする動機だと、この悪循環がよけい強化されてしまいます。

3-3)改善するには

1〜3にならないようにしていけばいい。その逆をすればいい!

=改善の基本は、この悪循環の習慣をなし崩しにして、現実に適応しやすい恐怖や緊張が少ない習慣に移行していければいい。

そこで、
3-3-1)習慣に対して---
@新たな強迫行為の習慣が増えてしまうと厄介なので、そうなりそうになっても、飲みこまれないよう対応できるといい。
A家族が強迫行為を手伝ってしまうことも、習慣になってしまえば、それも強迫行為の一部となってしまい、はずしにくくなります。(認知行動療法のページ>ケース2図9
B曝露反応妨害法によって、強迫でない新たなスタイルに移行し、それを習慣化するには、ほとんど毎日、曝露反応妨害法の宿題を実行する必要があることが多いです。週に3日行ってあとの4日は今までの強迫のパターンみたいな中途半端では、習慣化できません。私の場合は、週休2日でやってました。
ただし、例外はあります。

3-3-2)動機に対して---

・恐怖感が伴わない、逃げではない動機で、合理的な行動(独りよがりではない)を習慣化していけばいいわけです。
・曝露(エクスポージャー)は、恐怖の対象にあえて面と向かうという、逃げとは逆の動機の行動です。だから、効果があります。

強迫の場合、理屈や考え方だけ治そうとしても、行動をそれに合わせて変えようとしないと変わりません。

要は、野良犬の対処法と同じ!

びびったり、目を合わせたり、走り出してしまうと、犬は寄ってきます。
無視する感じで、何事もないようにふるまえば、近寄ってきません。
意識して走り出してしまうというのは、強迫の場合、強迫観念に出会ったときに、行為に走ってしまうことです。
頭の中で、びびらないように、逃げないようにしていきます。
・そのためには、まず状況を受け入れます(あるがまま)。不安はあってもいい!強迫観念はあってもいい!
・怖さに対し、ただ我慢するような受け身ではなく、能動的な方がいいです。
曝露(エクスポージャー)のように、その対象に「こっちから面と向かったる!」くらいの気持ちの方ががいいのです。(参考:8.改善のポイント>(3)曝露と大リーグボール1号

・不潔恐怖の場合なら、エクスポージャーで、汚れをあえて広げます。[1]p260-
自分が不潔と感じるものに手でさわると、その手は肉眼では何ともなくても、自分では汚れが移ったように感じます。その手で、あえて他の部分もさわり、自分の大事なもの(聖域)に汚れを広げて行きます。どうせ蜃気楼なのですから、平気です。それくらいしていくと、かえって、今までの症状へは戻れないというあきらめがつきやすくなります。

・強迫の症状をもたらす物や場所を、逃げの動機で避ければ回避といい、強迫観念は強化されます。
しかし、四六時中曝露しているわけにもいかないので、その疲れを減らすために、あえてそういうもの(トリガー)に触れない時間を作ることはありです。 これは、回避と動機が違います。
寝るのも、夜、睡眠をとるためのものは自然ですが、強迫症状を避けるための動機なら逃げです。

3-3-3)体の反応に対して---
・体が緊張していることに気づかずに、症状にばかり目が向いていることが多いはずなので、緊張していないか体に気を配ってみます。心臓がドキドキしていませんか?強迫のときは、そればかり意識がとらわれ、それ以外に注意がいかなくなっていることが多いです。
緊張しているか、体に注意を向けてください。いい悪いという判断はせずに、ただ気づくだけでいいのです。それだけで、少しですが、意識を分散させることになります。余裕があるときなら、緊張をしている体例えば、肩や首をほぐすように力を抜いたり、その部分を動かしてほぐしてみたりします。また、腹式呼吸を取り入れるといい場合もあります。[1]p142

・元々多動(落ち着いてじっくりするということが難しい)、こだわりが強い人、緊張・力みが過剰な体質があり、強迫のパターンにはまりやすいこ人がいます。例えば、多かれ少なかれ発達障害の傾向があったり、他の疾患を併発している人に、そのようなことが見られる場合があります。
そのような人は、できればその分野に詳しい専門家と共に、まずその特性に気付き、その人にあった悪循環に巻き込まれない方法を練習します。

3-4)それ以外の改善の要素
気分・感情
(強迫性障害の治療で使われる抗うつ薬)は、身体や気分・感情に働きかけます。そのため、薬と認知行動療法との併用は、個人の4つの要素すべてに働きかけることになります。

環境

・周囲の人・家族と本人との関係。特に、強迫行為に巻き込まれてしまっている関係は、大きく影響します。
・昼夜逆転、自宅に引きこもりという状況も影響します。→セロトニンのページを読んでください。
3-5.症状がつらいしくみ

・逆に、悪循環がエスカレートしていくと、汚いと思える度合いも強まっていきます。

強迫のときって、余裕がなくなり、切羽詰った感じがするのですが、それは右図のようです。

強迫性障害によってとても辛い状況に置かれて、膨大な時間がかかっている。また、強迫の症状が出る前にも、不登校、ストレス・緊張が強い経験があった 。

その上、さらに辛いことが起きれば・・・ものすごい不幸になってしまうのでは?

というように、不幸が上乗せされてはたまらないという不安から、がけっぷちに追い込まれたような感じになっています。

そのため、病気になる前は、特に気になっていなかったものでも、万が一を心配してしまいます

でも、それは強迫観念です!

タヌキ君の居場所も、断崖絶壁ではなく、実際は、余裕がある場所なのです。
また、強迫に時間が取られ、非常に疲れるので、できることも減ります。

かつては、そんなこと意識せずにできていたことなので、以前の自分と比べてしまうと、よけい辛くなります。
しかし、治療がうまくいくと

上図のOCDによる辛さ(黄色い部分)が減るので、その上にある強迫観念(ピンクの部分)も、切羽詰ったものではなくなってきます。つまり病気のときは非常に恐怖をもたらす物でも、それほどではなく、気持ちに余裕ができて、視野が開けていきます。
参考文献
[1]エドナ・B・フォア博士&リード・ウィルソン博士(片山奈緒美訳)「強迫性障害を自宅で治そう!」VOICE
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