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気づき

受け入れた後の、気づきと考え方のポイントです。
自分の抱える問題に、まず気持ちが向き合っていくためのステップです。

目次
2-1)症状に気づく
2-2)考えの根拠は?
2-3)ターゲットを絞る
2-4) 紙に書くことと外在化
2-5) 家族との関係

2-1)症状に気づく

自分の抱えている問題が、症状(強迫観念、強迫行為、うつなどの併発症状)であるかどうかに気づく。

・強迫の症状のままに、行動しないと、本当にそれほどひどい状況になるのでしょうか?
本当に危険なら、他の人は、なぜあなたと同じ行動をしないのでしょう?他の人は鈍感だからですか?

できるだけ第三者の立場で観察してみます。

強迫観念が、そう思わせているのではないでしょうか?

強迫観念のタイプと特徴:

@強迫観念の原因を理屈であまり考えていないけれど衝動があるタイプ→こういう人は、そういう感じ・衝動があり、それが習慣となってしまっているから、観念が本当のような気がしてしまいます。そのため、行為をしなければならないと感じてしまいます。
例:行為が一度だけだとうまく行った気がしないため、さらに繰り返したくなる。前回うまくいったときの回数のときに行為を終わらせる、石鹸の泡立ちの良さ、タミングがいいときになるまで繰り返す。

A理屈っぽく、あれこれ頭で考えるタイプ→自分ではどう考えても、この考えしかないように思えます。でも、客観的に見れば、どこか過剰か偏っています。

B強迫行為で、洗浄や確認にものすごく時間がかかっている人が、普通のやり方がわからないというのも症状の一つです。
普通の人や、病気になる前の自分は、言葉であえて方法を考えていなかったこと、当たり前に自動でしていたことが、強迫行為に替わるので、普通の方法がどうであったか考えても、言葉ではわからないことが多いのです。(参考:症状のページ>図1B)

C肉眼で見えないものや、見えないほど微量でも心配なものが、強迫観念の対象となることが多い。
例:菌、ウイルス(エイズ、C型肝炎)、汚れ、水銀、電磁波・・・。

D汚染エリアの拡大・・・・さわった手、ふれた物・・・もしくはさわったかもししれない手、ふれたような気がする物から伝わって、誰かが触っただけで、次から次へと伝染していくのでは?という思いが起こります。・・・そして、汚いと思える範囲も広がっていきます。鬼ごっこで、鬼に触られたら鬼になるように、見えない汚染がタッチしただけで広がっていく感じです。これも強迫観念の特徴です。肉眼では見えなくても、何百万分の一の確率でも、ごくわずかな汚れが伝わったような気がしてダメになります。(参考:確率と無視できるほど小さい
エリアが広がらないよう、聖域を自分で決めている人もいます。

これは、現実ではない観念だからこそ起こります。例えば、映画のスパイダーマンは、ビルに登ったり人間ではできないことが自由にできます。でも、これは、物語という想像の世界だからです。それと同じように、強迫観念も、想像が産み出したものです。ですので、実際の汚れ、ウイルスは、そこまで伝染しません。

E自分が息を吸うタイミングの違いで不幸や凶悪な事件が起こると思ってしまったり、ごく小さな茶色の点を見ただけで常に汚物でないか気になってしまうように、普通の人は、それから強迫の対象を連想しないのに関連付けてしまう普通の人がありえないと思うことが現実にありそうだと思ってしまうことも強迫観念です。

2-2)考えの根拠は?

・強迫症状の動機となっている考えのどこかで、根拠があやしいはずです。

1)根拠が科学的ではない場合:
科学的な知識: ウイルス(エイズ、肝炎など)、菌のうつり方、便、尿、土、砂、ほこり、薬品の危険性への誤解

洗い方、掃除の仕方:洗剤の成分への誤解、洗う回数が増えるほど→きれいになる→安心できるという誤解

⇒科学的に検証する。専門家、保健所に聞く。
・ 他人に恥ずかしくて聞けないのは、根拠が怪しい証拠では?

2)考え方の癖に偏りがある場合:
認知療法のページの「誤った信念」のパターンのどれかに当てはまる。
ただ、これは普段、自分では意識せずに自動的に行われているので、自分ではなかなか気が付きにくい。

2-3)ターゲットを絞る

1)本当の敵は何か?
症状のせいで、そう感じているだけなら、
本当の敵=脳の中のしくみが、そのようなプログラムに陥ってしまっているということ。参照:OCDと脳
(パソコンが悪いプログラムにはまっても、パソコン自体は壊れていないように、(純粋な)OCDのプログラムも修正できます。)
ただし、自分では、どこが過剰か分からない場合もあります。
何か現実とはおかしいけれど、具体的にどこがかはわからないような感じです。

でも、この段階では、考え方(強迫観念)が100%変わらなくてもいいのです。

両価性といって、変わりたいという気持ちと、変わるのが怖かったり本当か信じ切れないという気持ちの両方あるはずです。変わりたい気持ちの方に、少し傾いてくれれば、後は(治療者とともに)行動です。

2)変えられるのはどこか?
感情、身体は、自分では直接、コントロールできません。ですので、認知か行動から変えてみるのが認知行動療法です。
また、
強迫観念(自動的に思い浮かぶ考えや衝動)は、温泉で湧くお湯のように、自然にわきます。自然にわくお湯にふたをすることが無理なように、強迫観念を、直接、止めようとすることも無理があります。止めようとすると、かえって思考がこびりつきます。
変えらえるのは、それへの対応した強迫行為です(頭の中で観念に反応した思考も含む)。

3)脳のしくみ
・ 多くの時間を症状にとらわれるため、脳の中で、いくつかの部分が過剰に働いています。
→火事でもないのに火災報知機が鳴っているようなもの!まぼろし、実体のない[1]p124、蜃気楼のようなもの。
・強迫は、自分の感情と体の反応(緊張など)が伴うため、もっともらしく感じてしいます。でも、強迫は、そのように人をだますのがうまい、詐欺師のようなものです。
「症状の仕業なら、真に受けない。」

これは強迫観念による間違った情報であると、自分に言い聞かせます。
(誤った警報とみなす説は、科学的根拠が徐々に集まり、現在、世界の専門家の間では広く認められ、英語では多くの本に書かれています。[3]p111)

そして、この段階でも受容(あるがまま、受け入れ)が大切です。


「心配している自分に気づいたら、ちょっと立ち止まって、こんな思いにとらわれていても大丈夫なのだと、自分に言い聞かせてください。」[1]p137・・・すぐに反応したり、行為をしたりせず、一呼吸置く感じです。

もっと洗いたい、不完全ですっきりしない、まだ安心できない・・・こういう衝動も受け入れます。
真に受けて、「どうしよう」「何とかしなきゃ」という衝動のままに行動してしまうと、強迫の思うつぼです。

「自分の症状を克服しようと決心したとき、自分の心配が実体がないものだと納得したとき、そして、苦痛を取り除くために儀式行動(強迫行為)以外の新しい方法を見いだそうとしたとき、強迫観念や強迫行為の力が弱まるからです。」[1]p124

2-4)紙に書くことと外在化

・頭の中だけで考えていると、堂々巡りしがちです。
そういうときは、専門家とカウンセリングできればいいのですが、そうでない場合、紙に書いてみると、整理できることがあります。また、このようなことを自分から能動的に行うこと自体意義があります。

セルフモニタリング・・・自分で紙などに、状態を観察して記録するものです。
例えば、表に、強迫行為にかかった時間、SUDなどの度合い記録してます。それによって、どの行為に、どのくらい悩まされているかがわかり、新たな気づきがあることがあります。

・ここで大事なのは、自分に嘘をつかない。怖がらずに事実に忠実に、記録します。

外在化(がいざいか)・・・抱えている問題は、症状であり、自分の人格と切り離して考えます。このように、人格の外に出すことで、見方を変えてみます。
症状に「OCD君」と名前をつけるように、自分の人格と症状とを分離する方法も、欧米の専門書(特に子ども向け)にはよく書かれています。[4]他

とらわれ=OCDに支配される

⇒自分の本意ではなく、症状にやらされていることにまず気づく。

2-5)家族との関係

・強迫性障害は、他人にわかってもらうことが難しい病気です。しかし、家族に依存してしまっている部分が多い人もいます。

・次の2点はどうでしょう?
@家族にお世話になっている部分。
例えば、自分が働いていないのに、ご飯を食べられ、電気やガス代を払ってくれているのは、家族が支出してくれているためでは?
強迫行為で、ものすごく洗剤やティッシュを使うけれど、自分でお金を出して、買い物に行っていますか?タオルをものすごく使う人は、自分で洗濯していますか?

A強迫観念による要望に、家族が巻き込まれていないか?
替わりに掃除してもらっている。自分の症状に影響するエリアには、近づけさせないようにしている。外から帰ってきたら、家族に着替えや体を洗うことを強いている。家族に「大丈夫?」と聞いて、確認の念を押してもらっている。

このように、自分が置かれている状況を観察してください。
あなたが大人なら、Give and Takeの関係が基本です。また、相手に、自分が病気だからと言って、何かを強いることもどうかと思いませんか?家族だって、自分の人生があります。
症状のためにすぐに働けないのは、もっともなことです。お世話になること自体が悪いわけでもありません。
でも、このままの関係で永遠にいけるはずもありません。

支援が必要なら、相手の人生を尊重した上で、頼めばいいのです。
そして、状況を観察しつつ、抱えている問題の本質に向き合い、治療に向き合う必要が感じられれば理想的です。

参考文献
[1]エドナ・B・フォア博士&リード・ウィルソン博士(片山奈緒美訳)「強迫性障害を自宅で治そう!」VOICE
[2]Pandmal de Silvia & Stanley Rachman(著)、 貝谷久宣(訳)「強迫性障害」
[3] Dan J.Stein著「不安とうつの脳と心のメカニズム」星和書店原著2003年、訳2007年
[4]Tamae E.Chansky,Ph.D., Freeing Your Child From Obsessive-Compulsive Disorder, THREE RIVERS PRESS, 2000
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